近畿大学医学部内科学教室小山敦子教授らの研究グループは、吉本興業、オムロン、NTT西日本と「笑い」を医学的に検証する共同研究を実施し、「笑い」の測定方法を開発するとともに、「笑い」がもたらす身体的及び心理的影響を解析した。
「緊張・不安」「怒り・敵意」「疲労」なそが笑うことで改善
「笑い」は、人間にとって日常的な動作であるにも関わらずその定義が曖昧であり、表情の評価も難しいことから、その研究は難しいとされてきた。
同研究では、「笑い」を「コメディアンが参加者を笑わせることができる状況を作り出して、参加者が笑ったこと」と定義した上で、表情をスコア化する方法を用いて笑顔を数値化し、笑顔と身体的・精神的指標がどのように変化するかを調査した。
なお、参加者の「笑い」を引き出す方法として、吉本興業が吉本新喜劇と漫才・落語を提供。参加者の表情データの測定をオムロンが、また心拍数と呼吸のバイタルデータの測定をNTT西日本が担当した。
研究グループがデータを解析し、「緊張・不安」「抑うつ」「怒り・敵意」「活気」「疲労」「混乱」という6つの尺度で参加者の気分・感情を測定した結果、「緊張・不安」「怒り・敵意」「疲労」の3スコアで、笑うことによる改善が認められた。 (慶尾六郎)