環境No.1住宅の実現を目指して
パナホーム(株)は、東京大学・(株)日建設計・海法圭(かいほうけい)建築設計事務所との産学共同研究とパナソニックグループとの連携により、環境No.1住宅の実現を目指した『CO2±0(ゼロ)住宅』の開発に着手した。
同社の本社工場(滋賀県東近江市)内に、同住宅研究棟を建設するとともに、将来的な商品化を目指し、2010年7月から3年間の実証試験を行うという。
この背景には、地球温暖化対策の厳しい目標が
国内の家庭部門でのCO2排出量は、京都議定書の基準年(1990年)には1億2,700万tだったが、2008年度には速報値で1億7,200万t(対基準年比+34.7%)と高い水準にある。<環境省調べ>
また、地球温暖化対策基本法案が閣議決定(3月9日)され、2020年までに1990年比で25%削減、2050年までに同80%削減するという中長期目標が盛り込まれた。
こうした中、住まいに対しても、環境への取り組みが社会の要請として求められているほか、企業の信頼や購買の基準となりつつあることが背景にある。
国の後押しも加速化する中で
一方、良質住宅のストック化をめざす「長期優良住宅」の認定制度や、ソーラー発電システム、エコキュートの設置助成金をはじめ、ソーラー発電による余剰電力の買い上げ価格の倍額化、住宅エコポイント制度など、環境性能に優れた住宅に対する国や民間のさまざまな取り組みも加速化している。
このため同住宅は、建物の気密・断熱性能を向上させ、自然エネルギーを有効活用するとともに、創エネ・蓄エネ・省エネ・繫エネ(エネルギー収支を可視化)を実現するさまざまな設備・仕様を計画的に組み合わせることで、
住宅全体でCO2排出量が収支上ゼロになる住まいを目指すものという。
建物への自然エネルギー活用や省エネシステムの組合せで
実証試験を実施する研究棟は、断熱・気密性能を向上させたパナホームの建物に、東京大学・日建設計・海法圭建築設計事務所との連携による、ダイレクトゲイン(日射熱取得と蓄熱)やヒートポンプ技術の導入、居室間の熱融通等の空間設計を導入し、自然エネルギー活用の研究を行うとする。
また、オール電化仕様やソーラー発電システムをはじめ、直流電力の給電が可能な「AC/DCハイブリッド配線システム」、家全体のエネルギー収支状況が把握できる「ライフィニティECOマネシステム」、直流駆動LED照明等を採用し、パナソニックグループが推進する「家まるごと」のエコアイディアを具現化するともいう。
そして実証試験の最終年(2013年)には、1990年築の在来木造住宅のCO2排出量4.5トンに対し、排出量を1.5トン(33%)まで削減、さらにこの1.5トンを創エネ設備によるCO2削減効果で
収支ゼロを目指すというものだ。
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