大学研究室の悩みは中小企業が解決
研究で使う特殊な装置を求めていた横浜国立大学のために、中小企業が装置を共同開発した。産学連携は企業の側が大学の技術を活用するケースが多く、マッチングした神奈川産業振興センター(KIP、横浜市中区)は「これまでに仲介した中では初めてのケース」としている。
開発したのはセラミックス素材の分析装置。大きさが4ミリ以下の試験片の強度、耐久性などをナノレベルで測定できる。
大学研究室の予算が足りない!
横浜国大の多々見純一准教授が、試験装置メーカーの精光技研(相模原市)に生産を依頼した。セラミックス材料を研究する多々見准教授が、微細な分析装置を求めてKIPのコーディネーターに相談、マッチングが実現した。
「新しい実験や研究をするためには新しい装置が必要になるが、予算が限られているので困っていた」(多々見准教授)という。
中小企業は受注減の脱却に
精光技研は、取引先の大手光学機器メーカーなどからの受注減で厳しい状況だった。横浜国大からの受注額は約150万円。多々見准教授と詳細な仕様を何度も打ち合わせし、4ヶ月でオーダーメード装置を完成させた。
精光技研の田中幸司社長は「こうした単品生産は採算が合わないので大手企業には向かない。大学や研究所で需要はいくらでもあることが分かった」と話す。
窓口となったKIP担当者は「小回りの利く中小企業を大学が活用する新しい連携の形」と期待している。