さいたまの中小企業が最優秀賞に
使用済みペットボトルをリサイクルした耐熱・耐久PET食器製造販売の「
山征工業」が「
09年度 さいたま市ニュービジネス大賞」の最優秀賞を受賞した。
同賞は、新しい事業アイデアを持つ個人や中小企業を支援しようと始めたもので、今回で5回目というが、同社の片山征史社長(58)が考案したペットボトルをリサイクルする耐熱食器の製造が選ばれたもの。
逆転の発想で開発に成功
同社では、10年前から芳香剤の容器をPET樹脂で製造してきたが、PET樹脂の成形は技術的に難しく、部分的に結晶化し白濁することがあった。不良品となる結晶化の撲滅に取り組む一方で発想を転換し、容器全面を結晶化できればPET樹脂の新たな特性を引き出せるのではないかと考えたという。
このPET樹脂が白くなる結晶化技術を応用して、従来のペットボトルの弱点であった耐熱性が低いという課題を解決でき、耐熱200℃のPET容器の開発に成功したもので、また結晶化によ衝撃や傷にも強くなるという従来にはない付加価値を持つことにもなった。
リサイクルボトルの利用で環境にも貢献
さらに、この結晶化PET容器の原材料に回収ボトルをリサイクルしたペレットを用いることにも成功。そのため、同社が開発した技術は、ペットボトルの新たなリサイクル方法としても注目されるようになっているという。
また同社では、インキをPET樹脂に浸透させて文字や絵柄を印刷する浸透印刷という特殊な印刷技術の開発にも成功し、表面を強くこすっても印刷が落ちることはないという。
この製法で作った商品「エコメイト」は現在、マグカップ、どんぶり、湯飲みの3種類ある。電子レンジでも熱くなりにくく、子供やお年寄りも安心して利用できるとともに、冷めにくいのも利点とのこと。
中小企業のアイデアの積み重ねで、エコにもつながる素晴らしい商品開発ができたことに賛辞を送りたい。