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「日本一健康なまち」坂戸市に全国が注目

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女子栄養大学と坂戸市が連携
都心から近くベッドタウンとして人口が急増し、2006年には10万人を突破した坂戸市だが、「日本一健康なまち」を目指し、”葉酸プロジェクト”を核としたまちづくりで全国から注目を集めている。

坂戸市にある”女子栄養大学”がこの葉酸(下記参照)を研究しており、心筋梗塞、ガン、認知症等にかなりの影響力があることを知った坂戸市が、市民にこの葉酸を摂取してもらえば健康増進に役立つと思い立ち、伊利市長が前面に出て音頭を取ったという。

産学連携
まず、「健康づくり」をテーマにした「まちづくり市民会議」を2003年度に結成。全員公募によるメンバーが議論の場や市民実態調査を通じ、目指す健康なまちの姿を落とし込んだ「あなたの出番!おいでおいで健康づくり計画」を作成した。
この計画を達成するため、翌年にはまた全員公募のボランティア組織「元気にし隊」を発足させ、市民がマスコットキャラクター制作やイベント実施など健康づくりのさまざまな啓蒙活動に携わったという。

女子栄養大が研究する「葉酸」の効能に着目
健康に対する市民の注目度が高まったと判断した伊利市長は、2006年度に「健康づくり政策室」を設置し、”葉酸プロジェクト”に乗り出した。

これは、同大の葉酸研究を健康づくりに活かすプロジェクトで、厚生労働省の日当たり摂取推奨量0.24mgに対し、健康づくり政策室は0.4mgの摂取を提唱、葉酸が多く含まれる地元産野菜の摂取を呼びかけ、葉酸を強化した食品開発にもチャレンジした。
葉酸とは
ほうれんそうやブロッコリーなど緑黄色野菜や豆類、海藻、レバーなどに多く含まれている水溶性のビタミンで、胎児が正常に発育することを助けたり、貧血を予防する。動脈硬化の危険因子である「ホモシステイン」というアミノ酸を無害のメチオニンに変換する働きを持つため、認知症や脳梗塞の発症を抑制する働きもあると期待されるが、野菜だけでは1日0.4mg摂取は難しいという。

地元企業・店舗とも”葉酸”で連携
その結果、市内の食品企業”サンメリー”とのコラボレーションによる”葉酸ブレッド”が完成し、市内のパン屋数店舗も参加した。
現在では、ドレッシング、レトルトカレー、うどん、たまごなどにも葉酸食品が拡大している。

こうした葉酸強化食品のほかに、葉酸を多く含むメニュー、地元農産物を活用したメニューやヘルシーメニューを提供する店舗を「健康づくり応援店」として認定する制度を始め、現在56店舗に及ぶという。

市民の間に“健康と葉酸”という考え方は広く伝わっていて、地元産の小麦を用いた葉酸ブレッドを学校給食に出している。また、小麦を生産する農家に学校で小麦作りの解説をしてもらったりと、子どもたちへの浸透も図っているという。 
 
医療費の伸びが埼玉県で最低に
「日本一健康なまち」へのチャレンジは、目に見える効果となって現れている。医療費の伸び率が低下し県最低の増加率となり、介護保険一人当たり給付費も連続して減少を続けるという全国の自治体と逆行する傾向は、市民の健康志向が着実に向上したことを立証している。

2009年度からは、健康政策やスポーツ、健康保険、保健・医療など今まで各部署に分散していた健康関連の業務を一括して行う健康増進部を新設、さらに2010年度はリハビリやジム機能なども備えた施設へリニューアルするという。

健康をテーマにしたまちづくりは、市民から始まって産学官の連携での壮大なプロジェクトに発展し、市民の健康と経済面での効果はもちろん、市の財政面にも寄与するという素晴らしい成果を生み出したのである。

いまこの展開に全国から問い合わせが殺到しているそうだが、こうした市長を筆頭とした市民ぐるみの活動には、見習うべきものが多い。

外部リンク

貴重な「葉酸」に坂戸市が本格的取り組み(クオリティ埼玉)
前編 後編
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