芝浦工業大学工学部情報工学科の新熊亮一教授、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)脳情報通信融合研究センター(CiNet)の西田知史主任研究員らの研究グループは、株式会社NTTデータと共同で、簡単なアンケートの回答からCMを視聴中に脳が反応するパターンの個人差を予測することに成功した。
ターゲットがCMに興味を示すかを、簡単なアンケートで予測
この研究のポイントは、5から10問程度のアンケート回答から、CMを視聴しているときに生じる脳の反応パターンの個人による差(類似度)を精度高く予想するというもの。
図は、実験協力者の脳活動反応における、各CM間の相関を示したネットワークグラフである(赤丸は実験協力者No.1が視聴した各CM、青線はCM間のグラフ結合を表す) (論文情報2, FIGURE 5)
CM(コマーシャル、ここでは特にその映像)が個々の視聴者に与える好感度などを予測できれば、効果的なマーケティングが実現できる。一方でCMに対して視聴者が好感を持ったかなど、どのような影響を与えたかの直接的な効果測定は困難だ。
視聴者Aの脳反応と、あるCMに興味を示した視聴者Bの脳反応との類似度が高ければ、AはBと同じCMに同様の興味を示すことが予測できる。
この研究では、その類似度の予測を、5~10問程度の簡単なアンケートの回答に機械学習を用いることで可能にした。簡単なアンケートで回答者それぞれの脳反応を予測できるため、モニターなど協力者の負担、さらにはモニタリングコストを大幅に減らすことができる。
(慶尾六郎)