医療器産業による地域活性化構想
大分、
宮崎両県は医療器産業の集積を生かした地域活性化に向けた構想づくりに着手する。
両県に生産拠点を持つ
旭化成グループや、大分県に工場が集中する
川澄化学工業に大学、行政も交え、研究開発や人材育成、医療拠点整備などに取り組む。本年中に構想を策定する。
広瀬勝貞知事が4日、明らかにした。3月末までに両県の産学官関係者が構成する研究会を設置し、策定に向けた体制を整える。
地元企業と連携、新しいタイプの医療拠点整備へ
大分県は医療機器生産額(2007年)が全国4位。旭化成グループが主に大分市で生産する人工腎臓、血液浄化器や、白血球除去、ウイルス除去の各フィルターはいずれも、シェアが世界で1位か2位。県南で工場を展開する川澄化学工業(本社・東京)は、透析用血液回路や血液バッグで国内1位の実績がある。
宮崎県でも、旭化成のルーツである延岡市などで、フィルターや膜に使う中空糸などの製造工場が集積。医療器産業はリーマン・ショック後もほぼ無傷で安定した成長分野としての強みもある。
旭化成メディカルは「東九州メディカルバレー構想」を掲げ、両県での医療関連の拠点強化と連携を描いており、着手する新構想のベースとなる可能性もある。
米田健三県商工労働部長は「構想の実現には、東九州自動車道の整備も欠かせない条件」と指摘。実効性のある構想を策定することで、両県にとって共通の悲願達成に向けた情報発信効果も狙う。