産学で意識にズレ 大学の慣行、既存ルール重視
北海道大学(写真)は32億円を投じながらも十分な成果を上げられなかった産学連携事業の失敗原因として、公平を重んじる大学の慣行により重点投資が不十分になった点や、リーダーシップを発揮しようとした企業出身者が既存のルールを重視する大学研究者に受け入れられず孤立した点などを指摘する報告書をまとめた。
体制作りの甘さ露呈
文部科学省は24日、報告書を公表し、産学連携に取り組む大学と教訓の共有を図る。
大学が自らの失敗を検証するのは異例の試み。報告書では、大型研究を進める際に、学外者との意思疎通を十分に図れる体制を構築すべきなどとする10か条の注意点を提言している。
文部科学省の評価厳しく
北海道大の産学連携事業は、同省の支援を受け、2003年度から5年間実施。生命科学などの研究成果から新産業の創出を目指した。しかし、10件を目標としたキャンパス内への企業研究室誘致が2件にとどまるなど、事業は停滞。同省の研究評価部会は「C」(所期の計画以下の取り組み)と厳しく評価した。