廃止判定からの巻き返しにも不安あり
昨年末の行政刷新会議「事業仕分け」で、研究に関連する少なくとも16事業が廃止、縮減、見直し、と判定された
関西文化学術研究都市(学研都市=写真)。
科学技術予算の削減判定に対してはその後、各方面から批判が上がり、研究機関や大学側が巻き返しを図ったこともあり、政府の2010年度予算案では、ほぼ希望額を獲得したケースもあった。学研都市への影響も当面、事業仕分けの判定より、限定的になる見込みだ。
今年度限りで「廃止」と判定された後、予算案で実質的に「継続」と変わったのは、文部科学省の「都市エリア産学官連携促進事業」。
学研都市推進機構は同事業の一部を受託し、2008年度から3年計画で、大学や企業と健康管理装置・システムを研究開発していた。2年目に廃止を突き付けられたが、文科省が同事業を別の事業と合わせて「イノベーションシステム整備事業」に衣替えすることで、継続になった。
地球温暖化対策を研究する財団法人
地球環境産業技術研究機構(RITE)は、経済産業省の補助金で研究費用の全額をまかなっている。事業仕分けで「縮減」とされたが、予算案では、事業仕分け前に提出した概算要求額に沿う形になった。二酸化炭素を地中や海洋に貯留、隔離する研究などを続ける。
急激な廃止、削減は避けられたが、今後は・・
RITEの本庄孝志専務理事は、「来年度は予算を確保できてほっとしたが、今後は自己負担を求められるケースも想定される。不足分をどのように補うかが課題」と懸念する。