ゲームのメカニズムを学習に活用
教育現場においては、紙の使用量による環境負荷の観点とIT利用促進の観点から、ペーパーレスの学習方法として各種の情報端末の活用が求められており、その一つとして
ニンテンドーDS(R)や
スマートフォンなどのタッチ機能を持つ携帯端末が注目されている。
また、この28日にはアップルから"
iPad"が発表されたばかりでもある。
このため、立命館大学とベネッセが、この1月より「ゲームのユーザーインタフェースのメカニズムを活用した学習コンテンツ」に関する共同研究を開始することとした。
研究結果は次代の携帯型ゲーム機やタッチパネル型の情報端末を利用した新たな学習教材の開発に生かすといい、先月の先行調査にて学習頻度と成績変化に関係がみられたことから、今後の成果に期待している。
学習効果の高い教材提供が目標
学部として日本で初めてという立命館の映像学部では、サイトウ・アキヒロ教授の提唱する、「
ゲームニクス」(※)の研究成果を、テレビのリモコンやタッチパネルの操作画面の設計など実用領域へ活用した実績がある。
さらに「ゲームニクス」を活かせる領域として、学習への動機付けや反復学習などによる基礎学力の定着といった教育現場のニーズに対する解決策を掲げ、一般的には学習とは相容れないと思われるテレビゲームが持つ「時間を忘れてやり続けたくなる」という特性を融合することで、良質な教材の提供が可能と考え、今回の研究を行うことを決めたという。
一方、ベネッセは主力事業である通信講座「進研ゼミ」での豊富な指導ノウハウをもとに、これまでにもニンテンドーDS対応の学習教材ソフト「
得点力学習DS」など携帯型ゲーム機を利用した教材を販売している。
ベネッセは、立命館大学映像学部との共同研究を行うことで、「ゲームニクス」に基づき学習行動と成果の因果関係を分析し、その成果を今後のデジタル教材開発に活用することで、より学習効果の高い教材の提供を目指す考えだ。
※ゲームニクスとは
テレビゲームで遊ぶ人を夢中にさせるユーザーインタフェースのメカニズムを体系化したもの。
子どもはもちろん、大人もテレビゲームに熱中する理由は、テレビゲームに「思わずもっとやりたくなってしまう」要素が意図的に随所に詰め込まれているからで、この”夢中になるメカニズム”を分析し、その要素を多方面の分野に応用出来るようにしたもの。
サイトウ氏のゲームニクス理論ベネッセ「得点力学習DS」