HDDの発展に貢献した岩崎氏
今年の日本国際賞に、東北工大理事長の岩崎俊一氏(83)が選ばれた。授賞式は4月21日に東京で開かれるが、この賞は、ノーベル賞の日本版ともいえるものだ。
岩崎氏はHDD(ハードディスク)に「
垂直磁気記録方式」という新しい情報記録の仕組みを発明、2004年に東芝が世界で初めて実用化したもので、新たな手法のおかげでHDDが膨大な情報を記録する機器の主流となった功績によっている。
磁石の配列を変えて高密度化を実現
従来の磁気記録装置は、薄膜に小さな磁石を水平に並べたもので、高密度化には限界があった。岩崎さんは縦に並べても記録できることに気づき、77年にこれを提案し、わずか3年で実現したという。
岩崎氏は、「磁気記録という手法をすたれさせてはならないという責任感で研究した。発見自体は幸運だが、ずっと考えていたからこそ捕まえられた」と振り返っている。
基本特許しかとらず社会貢献!
もともと通信工学の進んでいた東北大に入り、1950年代に高音質の音楽録音用メタルテープを開発したが、少数のメーカーが独占したため、高価だった。
この反省を生かし、垂直磁気記録方式は基本特許しかとらなかったことから、多くのメーカーが参入し、高性能と低価格が実現して今の普及につながったものだ。
岩崎氏はまた、「世の中のためになってこそエンジニア。”
産学連携”の見本になれたかな」と語っている。
情報量が爆発的に拡大する今、岩崎氏の功績は計り知れないものがある。
垂直磁気記録方式