これまでの注射技能は経験次第?
病院や出張健康診断などで採決をする際、痛みを覚えたり、注射のし直しなどを体験したことは、誰しもあるのではなかろうか。
新人看護師の場合、患者らに通常より強い痛みを与えるだけでなく、採血の際に血液の成分を壊してうまく分析できないケースもあって、やり直しになることも少なくないのが現状らしい。
注射器は、容量や針のサイズ、患者の病状に応じた力加減が求められるが、看護学の教科書には「静かに採取、ゆっくり注入」とあいまいに書いてあるだけ。
これまで新米看護師らが注射器を扱うに際し、血管を探して針を刺す練習器具はあるものの、力加減などは教官らの実技と失敗経験から学ぶしかなく、余計な痛みや採血のやり直しなど、患者らに負担をかけるケースが多かったという。
開発した注射練習装置で技能向上に!
そこで、看護技術の合理化を目指し、ベテラン看護師の動作の分析に取り組む埼玉県立大保健医療福祉学部の国沢准教授と新村講師(共に看護学)、東京電機大の小川客員教授(人間工学)による研究チームは、7年前から練習装置の開発をスタート。
2007年6月に現在の形がほぼ完成し、学生の練習に使ってみたところ効果が大きかったため、商品化を目指すことにしたという。
開発した注射練習装置は、練習用の注射器にかかった圧力が、センサーを内蔵した容器に伝わり、そのデータがパソコンに入力・表示され、パソコン上でベテラン看護師の理想的な数値と比較をすることで、タイミングと力加減が視覚的に学べる仕組みとなっている。
お手本グラフには数十人分のテクニックを計測したデータが反映されているという。
商品化企業を募集中
国沢准教授は「自分の技術とお手本を目で見て比べられるので、わかりやすく、上達も早い。学生や新人にぜひ使ってほしい」と話す。
研究チームは、全国の看護学生らに使ってもらおうと、商品化に協力してくれる企業を募集中だ。
現在のシステムの場合、1セットの価格は15万~20万円程度になりそうとのこと。
問い合わせは、
埼玉県立大地域産学連携センター((電)048-973ー4361)へ。