初の産学連携専用BLが完成し稼働へ
兵庫県・播磨にある世界最大級の大型放射光施設「Spring-8」に建設していた、高分子材料の新素材を開発する専用ビームライン(FSBL)がこのほど完成し、稼働を始めた。
学術利用が多いSpring-8で、メーカーと大学の連合体が設置した初の
産学連携型専用BLとなる。
新BLは、住友化学・東レ・旭化成など化学・繊維大手を中心とした19団体と、東京大・京都大など14の大学の研究者で組織する「
フロンティアソフトマター開発専用ビームライン産学連合体」が設置・運営する。
新BL使用で期待されるもの
新BLは、プラスチックやゴムのような柔らかい素材「ソフトマター」の新素材研究・開発が目的で、最新のソフトマターは飛行機や自動車のボディー・有害物質の透過膜・化粧品・医療用材料など幅広く使われている。
世界最高レベルの高輝度と高安定性を有し、物質を分子レベルで解析できるSpring-8のX線ビーム性能を生かし、新BLでは他の方法では観測できないナノ表面や材料内部のナノ・ミクロレベルでの構造の新しい分析・評価技術の開発を目指すという。