産学官連携で誘致の施設建設が本格始動
佐賀県が産学官連携で鳥栖市に誘致を進める最先端の炭素線がん治療施設「
九州国際重粒子線がん治療センター」の運営法人が、5日設立登記申請され、2010年度中の施設建設着手に向け巨大プロジェクトが本格始動した。
このほど開かれた事業推進委員会で運営法人設立を決め、初期投資に必要な事業費約150億円に対し、現段階で8割程度が確保できる見通しとなったことから、委員会が建設へのゴーサインを出したもの。
炭素線がん治療法の特徴と現状施設は?
炭素線がん治療は、光速の60―80%に加速した炭素イオンを病巣にピンポイントで照射し、がん細胞を死滅させる治療法で、がんを切らずに治療できる上、健康な組織への影響が少ないことから人体への負担も小さく通院も可能となるなど、最先端の治療法として注目されている。
国内の炭素線がん治療施設は現在、千葉市と兵庫県たつの市に2施設あり、今年3月には群馬大(群馬県前橋市)で治療が始まる予定で、佐賀県が誘致する同治療センターは国内4施設目となる。
今後の進め方は?
同治療センターは、九州電力、九電工、久光製薬の3社で昨年4月に設立した特別目的会社「九州重粒子線施設管理株式会社」が建屋の建設・管理を担当し、今回設立申請した「佐賀国際重粒子線がん治療財団」が医療と施設運営を担うもので、炭素線がん治療施設として
全国初の民営施設が13年春に開業することになる。
そして国内だけでなく、中国や韓国など海外の患者受け入れも視野に入れた国際治療施設を目指すという。
プロジェクトを成功に導くための最重要課題は、残りの事業資金確保。計画の大幅な軌道修正が難しい段階に入った県は、経済界への働きかけをさらに強力に進めていくとのこと。