「まいど1号」に続く関東版産学連携で
昨年、東大阪の中小企業と阪大などが産学連携で打ち上げた雷観測衛星「
まいど1号」は記憶に新しいところだが、今度は横浜のベンチャー企業と東大などの産学連携で、超小型衛星を開発するという。
今回の計画は、中小企業の技術力を生かし、高価な最先端部品ばかりではなく安価な汎用部品を使って総重量を50kg以下とし、低コストの超小型人工衛星に仕立てるというもの。
これにより、コストが通常の10%程度に抑えられるといい、名前を「ほどよし」と命名している。
ベンチャー5社と8大学が新たに研究組合設立
計画によると、衛星の断熱材開発などをする横浜市のオービタル・エンジニアリング、カーボン繊維部品などを開発する福井県のサカセ・アドテックなどのベンチャー5社と、それに東大など8大学の研究者が参画し、「
次世代宇宙システム技術研究組合」を今月下旬に設立するという。
研究開発費は、文部科学省の「
最先端研究開発支援プログラム」事業として、平成25年度までに41億円の支給が決まっており、研究組合理事長には、オービタルの山口社長が就任する。
コスト・信頼性が”ほどよし”で
計画の最大の特徴は、山口氏や東大の中須賀教授らの打ち出した「
ほどよし信頼性工学」と名付けられた設計概念。安全面以外を専用部品でなく汎用品に置き換えることでコストを低減、信頼性をさほど損なわず
ほどよく保って組立できるというわけだ
欧米では150~350kg程度の小型衛星の開発が主流だが、微細加工の技術力がある日本は、超小型を得意分野としており、正に日本らしい衛星スタイルともいえそうだ。
研究組合は、商業利用を念頭に50キロ以下の超小型人工衛星の開発を行い、この規模でも10億~20億円程度とされる開発費を「ほどよし信頼性工学」で2億円程度まで圧縮させるという。
国産衛星ビジネスの目指す方向に…
これには超小型の高性能カメラも搭載でき、災害・地盤沈下などの環境変化の観測や、資源探査・農林漁業での利用など用途は多いという。
今月下旬に研究組合を結成し、4年以内に資源探査などに使える衛星を完成させて衛星軌道で性能試験を行うとのこと。
本技術を実用化することにより、将来的には商用小型人工衛星市場を日本が開拓し、世界をリードすることを目指す。年10基程度の販売を目指すとしており、今後の国産衛星ビジネスに新たな道を開くものとして、期待が高まっている。
最先端研究開発支援プログラム
http://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihu89/siryo1-1.pdfまいど1号
http://www.yomiuri.co.jp/space/news/20091015-OYT1T00802.htm