組紐技術でCFRP製品開発
スポーツウエア、アウトドアウエア用の合繊織物などを製造する石川県の丸井織物は、産学官連携により、次世代産業として注目を集める炭素繊維の成形・加工の技術研究に力を入れている。
炭素繊維は強くて軽い優れた素材だが、成形・加工が難しいため価格も高く、主に航空・宇宙分野やスポーツ分野に用途が限られていた。
そこで丸井織物は、経済産業省の地域資源活用型研究開発事業として、平成19年度から組紐技術を用いた長尺の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製品の開発を開始した。
強度確保のほか従来工法よりコスト減に!
そしてエポキシ樹脂を含浸させた数十本の炭素繊維を金型に引き込む方法で、連続的に成形する技術を確立した。
斜めクロス方向に炭素繊維を配列することで、剛性や強度が向上するとともに、引抜成形は任意の長さで切断できることから、長尺部品の生産が可能となったもの。
これには、京都工繊大の濱田教授が組紐の技術を提供し、金沢工大の金原教授と石川県工業試験場が製品の評価試験を担当し協力したという。
この事業では、テレビ用大型ガラスパネルを搬送するロボットアーム用の製品を想定しての研究の結果、剛性や強度の基準をクリアするとともに、加熱炉で樹脂を硬化させていた従来の方法に比べ、生産性が高くコストも低減できたとのこと。
今後の展開は…
同社の宮本徹社長は「事業を通し、炭素繊維の取り扱いや組紐の技術、構造設計のノウハウなどが得られ、人材も育成できた」と成果を語り、また「域内各社が連携し、北陸を炭素繊維複合材料の産地にしたい」と意気込む。
同社はまた、ロボット以外の建設・車両部材としての用途を見込み、今年度からは経済産業省の戦略的基盤技術高度化支援事業として、製造技術の高度化に挑戦するとのこと。
丸井織物(株)京都工繊大・濱田教授