(株)電通は、長年に渡り日本人の情報行動を分析してきた東京大学大学院の橋元良明教授と共同で、ネットやデジタルイノベーションとシニア層との関わりについて専門研究する「DENTSUデジタルシニア・ラボ」を、6月8日に発足させた。
60才以上のシニア層は、10年後には人口の約3割に達するとも言われている。
一方消費行動の面では、昨今の厳しい景況下においても堅実な消費の伸びを示していることから、電通では、企業のマーケティング活動においても重要なターゲットとなるこのシニア層に着目したもの。
アクティブなデジタルシニアの情報行動は
特に60代以降でネットやデジタル機器を自由に使いこなし、アクティブにシニアライフを送る人達を、同社は「デジタルシニア」と名付け、彼らのメディアライフや情報行動の実態を、同大と共に研究を進めてきた。
既に実施してきた調査からは、
・時事について自分の見解を交えツイッターで情報発信する
・”おやじバンド”での活動をネット動画サイトで発信する
・別々に暮らす子供達の動静をブログでチェックする
・IP電話を利用して遠くの孫と”しり取り”をして遊ぶ
など、ネットやデジタルイノベーションの進化により、シニア層のライフスタイルが急速に変化してきているという。
DENTSU デジタルシニア・ラボ設立の意図
こうした背景から電通は、さらにデジタルシニアとネットの関係を探る目的から、同社の研究部内に事務局を置き、同大・橋元研究室と連携した共同研究組織として「DENTSU デジタルシニア・ラボ」を立ち上げたもの。
同ラボでは、ツイッター上で現在世界中に5,000人を超えるフォロアーを持つカリスマシニアのミゾイキクコ氏もアドバイザーを務めるとしている。
仮説検証や情報発信しシニア基点での社会の活性化を
今後、同ラボでは、アンケート票式のベンチマーク定量調査などを実施し、様々な仮説の検証結果を発表していく予定とのこと。
また、シニアライフ向上に関する社会への提言やビジネス開発に資するコンサルテーションまで幅広い情報発信を行い、シニアを基点とした社会の活性化を図っていくとしている。
同ラボからの発信内容が注目される。
<プロフィール>
●橋元良明氏
東京大学大学院情報学環教授。1955年京都市生まれ。1978年東京大学文学部心理学科、1982年同大学大学院社会学研究科修士課程修了。コミュニケーション論、社会心理学専攻。一貫して、日本のコミュニケーション状況、メディア環境の変化を実証的に探求している。
著書・論文に『背理のコミュニケーション』(勁草書房)、『コミュニケーション学への招待』(編著、大修館書店)、『ネットワーク社会』(編著、ミネルヴァ書房)、『メディア・コミュニケーション学』(編著、大修館書店)等多数。
●ミゾイキクコ氏
1934年生まれ。埼玉県東松山市。趣味は茶道、園芸、料理、写真、太極拳。
ツィッター上で現在世界中に5,000人を超えるフォロアーを持つ。
(株)電通 ホームページ
http://www.dentsu.co.jp/ 東京大学 ホームページ
http://www.u-tokyo.ac.jp/index_j.html