被災地3県の倒産件数は31社だが
帝国データバンクによると、東日本大震災による企業の倒産件数は、7月7日現在で218社。このうち岩手、宮城、福島の被災地3県の倒産件数は31社にとどまっている。
しかし、壊滅的な被害を受けて実質的に営業不能状態の企業は多く、今後倒産件数のさらなる増加が見込まれる。
4280社の震災後の活動状況を調査
帝国データバンクでは、岩手、宮城、福島の沿岸部において、震災後の活動状況や今後の事業継続方針について聞き取り調査を行った。
調査対象は、「津波の被害が特に大きかった地域」と「原発事故による立入禁止区域・計画的避難区域」に本社をおく5004社のうち、集計可能な4280社。調査期間は6月6日~30日である。
この結果、集計可能な4280社の震災後の活動状況をみると、「事業再開」している企業が過半数を占めるも、「事業休止中」「実態判明せず」を合わせた実質営業不能状態の企業が地域全体の4割の2070社におよんだ。
この4280社の今後の事業継続方針を調査したところ、「事業継続意向」が全体の55%であった。そして、「未定・検討中」「廃業の予定」「調査不能」の合計45%の1920社が事業の継続見通しが立たっていないことがわかった。
倒産判明は氷山の一角であることの裏付け
実質営業不能状態の企業が少なくとも2070社という数字は、現状判明している岩手、宮城、福島の倒産件数31社の約70倍にのぼる。これは、「倒産判明はあくまで氷山の一角」との従来からの指摘を裏付けるものであった。
事業再開中の企業の中には「従業員を解雇して自宅で細々と営業している」(宮城県、製造)ケースなど、津波で企業基盤を失い破綻の危機に瀕している企業も多い。このため、実質営業不能状態にある企業数はさらに増えると考えられる。
また、復旧・復興までの期間が長引くほど、実質営業不能状態の企業が事業継続を断念し、倒産手続きに移行する可能性も高まると考えられる。このため、倒産件数がさらに増加する可能性がある。
帝国データバンクのニュースリリース